赤ちゃんのげっぷ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

赤ちゃんのげっぷ

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

げっぷとは、消化管に溜まったガスが口から排出される症状です。赤ちゃんは咀嚼(そしゃく)嚥下(えんげ)機能(食べ物などを噛んで飲み込むこと)が未熟であるため、哺乳時や飲食時に空気を同時に飲み込み、胃や腸に空気が溜まりやすくなります。

また、赤ちゃんに特徴的な胃の形や噴門部(ふんもんぶ)(食道と胃がつながっている場所)の機能も未熟で胃内の空気がげっぷとして排出されやすいのも特徴です。

  • 授乳後、げっぷとともに大量の嘔吐が生じやすい
  • お腹が膨らんでげっぷが多く出る
  • 悪臭のあるげっぷが出る

このような症状がある場合、原因としてどのようなものが考えられるのでしょうか。

赤ちゃんのげっぷは大切な生理現象であり、授乳後には吐き戻しを防ぐためにげっぷを促してあげるとよいでしょう。また、以下のような日常生活上の原因によってげっぷが起きやすくなることもあります。

赤ちゃんは、哺乳時に大量の空気を飲み込んでげっぷを生じることがあります。特に、哺乳瓶を使う赤ちゃんはげっぷが多くなる傾向があります。

空気を飲み込ませないためには

赤ちゃんの口の大きさや形にあった哺乳瓶の乳首を使用し、乳首と口に隙間ができないようにしましょう。また、赤ちゃんの中には、一度に大量の母乳やミルクを飲んでしまうことがあるため、哺乳量には注意しましょう。

まだ、お座りやハイハイができない赤ちゃんは1日を横になった状態で過ごします。このため、運動不足になりやすく、消化管の運動が滞ってげっぷが起こることがあります。

運動不足を解消するには

横になったままの赤ちゃんであっても、脚の曲げ伸ばしや起き上がりなどを補助して運動不足を解消してあげましょう。また、お腹が張っているときには腹部マッサージも効果が期待できます。

日常生活上の対処を行ってもげっぷの回数が多い場合は、思いもよらない病気が潜んでいる可能性があります。一度病院を受診するとよいでしょう。

赤ちゃんのげっぷは生理的な現象としてよくみられるものであり、特に授乳後は、げっぷを促して飲み込んだ空気を吐き出させるとよいでしょう。しかし、以下のような病気が原因でげっぷが出やすくなることがあります。

赤ちゃんのげっぷは、胃や腸などの消化管の病気によって生じることがあります。げっぷの原因となる消化管に関連した主な病気は以下の通りです。

便秘

赤ちゃんは消化管の機能が未熟なため、水分不足など些細な原因で便秘になることがあります。便秘になると、腹部膨満(ぼうまん)や腹痛による不機嫌、哺乳量の低下などがみられ、消化管にガスが溜まりやすくなってげっぷが出やすくなることがあります。

また、げっぷは腸内の腐敗ガスを含んで悪臭を放つこともあります。

肥厚性幽門狭窄症ひこうせいゆうもんきょうさくしょう()

胃の出口である幽門部の筋肉が厚くなることで、出口部分が狭くなる病気です。母乳やミルク、空気が胃内に停滞するため、大量の噴水状嘔吐やげっぷがみられます。多くは生後2週間ほどで発症し、薬物療法や手術が必要になります。

肥厚性幽門狭窄症
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腸重積

腸の一部が肛門側の腸管にめり込むことで、出血や血行不良を生じ、血便や腹痛などが引き起こされる病気です。

病変部(病気による変化が起きている箇所)がしこりとして体の表面から触れることもあり、消化管内のガスが停滞することでげっぷが出やすくなることがあります。

赤ちゃんのげっぷは消化管の病気以外にも、以下のような病気によって引き起こされることがあります。

呑気症どんきしょう()

無意識に空気を飲み込んでしまう病気です。胃内に取り込まれた空気はげっぷとして排出されるため、必然的にげっぷの回数も増え、嘔吐を伴うこともあります。

赤ちゃんのげっぷは日常的によくみられる生理現象であるため、げっぷが多いからといって病気を疑う人は少ないでしょう。しかし、消化管やそのほかの病気によって引き起こされることがあるため、急にげっぷが増えたような場合には注意が必要です。

特に、げっぷ以外にも排便回数や便の性状に異常が見られる場合や、発熱や活力の低下などの全身症状を伴う場合、悪臭のあるげっぷが多く出る場合、げっぷとともに大量の嘔吐続き体重減少がみられるような場合は、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

受診する診療科は小児科です。血便や意識の低下など緊急性のある症状を伴う場合は、夜間・休日でも救急外来を受診しましょう。

また、受診の際には、いつからげっぷの回数が多くなったのか、排便の異常、そのほかの症状などを詳しく医師に伝えるようにしましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 食欲がない
  • お腹が張っている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 授乳のあとにみられ、普段と様子に変わりがない
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。